2004年1月　北ア・八方尾根

前夜発、5：30八方尾根スキー場着。（…ぐったり）車で仮眠。超寒い。
ギャルに混じって（←混じってない）ゴンドラ・リフトを乗り継ぐ。
ザックでリフト、怖いです。10：45登山開始。
と同時にラッセル開始。っーか中村さん、立ち入り禁止区域に何トンネル掘っ
てるの？
…って…でえーっっ！！…こ、これが…『真のラッセル』？！
じゃあ今まで私がラッセルだと思っていた“あれ”は…『ぷち・ラッセル』
くらいでしかなかったなんて…！ひぇぇ！！

これは一刻でも遅く順番が来るのを祈るのみ。しかもグラニュー糖のようなサ
ラサラスノー、踏んでも踏んでもちっとも固まらない。さらに天候もいまいち。
展望どころか一面真っ白。私には山と空の境目すら見えないのでした。この日最
も印象に残った風景は、前を歩くケロちゃんの赤と黒のスパッツ…。

犬かきのようなラッセルを笑われたり（…聞こえてましたよ）スコップを使う画
期的なラッセルの方法を伝授されたり、ラッセル・クロウはかっこよかったり、
とへたれの私にとってはありえない一日でしたが、これはこの後に来るさらにあ
りえない出来事のほんの序章でしかなかったのでした。

結局八方池にも到達できず、第2ケルン手前のトイレの横（ありえない）にテント。
いつものお鍋（注・冬合宿の残り）いつものお酒（注・梅酒ウォッカ）で平和に
夜はふけ、今夜はいびきのM2（注・ダブルM 氏のこと。安眠妨害の要注意人物）
もいないし、山での良眠をゲッツ！！のはずだったのですが…1：30！何？！すご
い音！（注・いびきではない）しかもテントがものすごく揺れてるんですけど。
これは先週フライが破けたっていう、超ウルトラスペシャルびっくりな強風じゃ
ないの？

ちょっとどうして誰もおきてこないわけ？どんな神経なわけ？って考えれば考え
る程眠れない…しかもどんどん風の勢いは激しくなるし。やばい…おりれなかっ
たらどうしよう…せっかくつけたトレースが消えちゃう（←大当たり）
えーっ！またラッセル？マジすか？と、もうほとんど眠れないうちに起床時間の
4:30に。

風の勢いは悲劇的。もうサップの連打を浴びてるかのよう。その上寒―っ！あり
えないのは、「トイレ」とケロちゃんが出た瞬間！！『ぶわっ』と出口がパラシ
ュートみたいに開いて『ごーっっ』びっくりして目をつぶって、むらとんが紐を
ぎゅっと絞ったほんの1 ，2 秒…目を開けたら…テント一面銀世界…。びゅうび
ゅう風が入ってきてその雪が舞い上がって、持ってきた服全部を着ても、恐怖と
寒さで震えが止まらない。ありえない！信じらんない！絶えられない！お湯がわ
かない！音がすごくて、話し声がぜんぜん聞こえない！
もうまじまじまじまじまじまじまじまじまじまじ？？？？？？？？？（システム
エラー発生）

少し明るくなって誰かが（←覚えていない）「フライがやぶけちゃってる。後テ
ントも！！」あっ（…空白…頭真っ白）

ケロちゃんの後ろに　　　　“…雪景色が見える…”

「これ、マズイんじゃないの？」という声に我に返った私は、いきなりすごい勢
いで鍋をかき回し（有無を言わさず）半生のそば（注・冬合宿の残り）を皆に食
べさせたのでした。

ものすごい風と寒さの中テントをたたみ、そうこうしていると風が治まってきた
様子。「…温泉。温泉。」と生きる希望を胸に私はラッセルを始めたのでした。
スキー場が見えたころには、なんだかびっくりの快晴。（…ありえない）白馬岳
をバックに写真を撮り、ギャルに混じって（だから混じってないってば）
♪ばばんばばんばんばん♪と逆リフトで下山したのでした。
　　　「たまには、ばばーんとね?」

本当に山って…あなどれない。そして、ありえない。と感じた山行でした。