2004年5月　丹沢・鍋嵐山／滝ノ沢

報告：北嶋、花岡
場所・ルート丹沢・宮ヶ瀬付近・鍋嵐山（なべわらしやま）／滝ノ沢

目的・方法沢登り

期日 2004年5月9日(日)

参加者花岡洋二、北嶋勝広　（２名）

行程

天候

報告
ザイルを必要とした滝は一ヶ所。落葉樹の原生林がきれいで、静かな沢でした。下山は地図とコンパスを頼りに尾根伝いに下山。最後は肩がらみで懸垂下降して、中津川を渡渉し対岸の道路にでる。中津川ではカジカ蛙の美声が聞こえました。山頂付近と懸垂下降地点でヤマヒルが靴に這い上がってきて虫除けスプレーで撃退しました。 P.S 宮ケ瀬ダムの貯水量が増えたら沢には入れないかもしれません。以上　報告：北嶋 ----------------------------------------------------------------- もう２５年位も前のことである。山の帰り愛甲石田に住んでいた当時の山岳会会員である遠藤・香月のアパートに立ち寄った時部屋に東京雲稜会編の「丹沢の山と谷」という本が転がっていた。「山から少し足が遠ざかりつつある二人には勿体無い本だから花岡が大事に保管してやろう」と言って惜しそうな顔をする遠藤を無視して持ち帰った。本は今でも当時の姿のまま私のところで大事にされている。その中に不思議に思える沢が載っていた。「布川流域滝ノ沢」と括られ、大山三峰の北の山に喰い込む沢とある。この沢は地図と記事内容を照らすともうひとつ確信がもてないことで大山三峰の北に連なる尾根の末端の山８１７ｍ峰の北峰に食い込んでいる等の位置説明だ。しかしそうするとこの山は中津川の山になり布川というには少しづれている。だいたいの検討をつけ丹沢の行き帰り、宮ケ瀬付近からそれと思われる山の北面に喰い込む「滝ノ沢」と思しき沢を見つめるのだがこの沢は昭文社のエリアマップ「丹沢」では「境ノ沢」となっていて中津川の支流である。もうひとつ確信がもてないままであった。そんなな中、湘南台の図書館で吉田喜久治「丹澤記」を読んでいると問題の山の名は「鍋嵐（ナベワラシ）」というのだそうで、丹沢の地名について大部教えれた。さらに「マシラの部屋」ＨＰ上での「滝沢（境ノ沢）」の記録のなかで東京雲稜会の「丹沢の山と谷」にも触れられており。「マシラ」の当人が雲稜会に在籍し「丹沢の山と谷」の調査山行に参加したはずの人だからまず「滝ノ沢」であるのは確かなようだ。山名は「鍋嵐（ナベワラシ）」沢名「滝ノ沢」である。朝、門沢橋のセブンイレブンでいつものように北嶋を拾い、丹沢に向かう。前日思い立ち、その夜遅くパートナーを依頼し運よ了承してくれたのが北嶋だったのである。北嶋には「滝ノ沢」は２万５千分の１地図「大山」の長者屋敷ｷｬﾝﾌﾟ場の場の字のすぐ右下から南に向かって伸び上がるように喰い込んでいる沢がそれだと電話で説明したが。宮ケ瀬三叉路を左折、塩水橋に向かう中津川林道が宮ケ瀬ダムのﾊﾞｯｸｳｫｰﾀｰの手前、左手に道を分け橋にフェンスを張ってあるところに車を停める。空は曇り。一日持ってくれればと思いつつ北嶋と準備。フェンスを乗り越え、橋は渡らず右手方向に降りて行く。岬状をさらに下り、グズグズの堆積物で埋まった川を渡渉する。今はダムの水を放水して水位が下がっているから渡れるが、満水時のときは渡れそうも無い。　出合は薄暗く、すぐ２ｍの滝。「丹沢の山と谷」の出合７ｍの滝が埋まったもののようだ。右から越す。すぐ上に１０ｍの滝。ここで登攀の準備をする。北嶋にビレイを頼み花岡が右から取付く。３ｍ程登ってハーケンを１本、さらに６ｍ程登って１本、落口は左にトラバース気味に登り、立木でビレイを取って終了。北嶋を確保しながら左を見ると落口左岸に昔の炭焼き釜跡、さらにナント右岸に鉄パイプの階段がつけられている。ひょっとすると渡渉しなくても先程の立派な橋を渡り、端の付け根あたりを探すとここに出られる道があるのではと思わせた。　この滝の上は少しゴルジュ風の滝場になっていてほぼナメ滝か、ナメ状である。すこしゴーロ状になると二俣。少し休んで地図を見る。右俣が若干水量が多く、地図でも右俣が頂上近くまでつきあげている。もちろん右俣に入る。１０分程登るとまた二俣。左俣が水量多く左俣に入る。右俣の奥には急なナメ状の滝が見えている。この間、登ってきた沢筋もナメ状の滝が多かった。　左俣に入って１０分程で４ｍ位の半円状になった滝が出てきた。半円状の滝正面と右にわずかに水流があるだけだが正面と左はペロンとして登れず、右手の水の滴る壁を高巻く。この半円状の滝の上には大体三つの流れに分かれるが左が本流である。　左に入ってすぐに二俣がある。左に入ると水はナメ状をチョロチョロと流れるだけになる。スラブのナメ状の沢には小滝が次々と出てくるようになり、井戸底の突当りのような所に出た。もう終りかなと登ってゆくと井戸底の右手に滝があった。水はほんの申し訳程度、落口にはかぶり気味の岩と立木。この滝には北嶋がトップで取り付く。ザレた左手から立木でランニングをとる、木の上、右手にある大岩は落口にかぶるように迫りだしており、北嶋はこの岩を抱くようにソロリとトラバースして越す。見ていて気持ちよくない。ザイルを出したのは下の１０ｍ滝とこの６ｍ滝だけだった。　この滝の上あたりで小雨がパラつきだす。なおもルンゼ状の中、ナメと小滝が続く。落差は無いが難しい小滝もある。２０分程登ると二俣。左に入る。１０分程でルンゼ状のナメを登り、浅くなったナメルンゼの二俣で中間に落ちている小尾根に取付く。すぐ稜線に出て右に少し登ると頂上だった。８１７ｍの北峰の頂上だと思われた。　休んでいるとシグマになんとヒルがついている、北嶋が大騒ぎ。虫除けスプレーで撃退するが昼食もそこそこにして下山にかかることにする。地図と磁石で北面に延びる尾根を目標にしてかすかな踏み跡を追う、うまくいけば中津川がくの字に折れた地点、２万５千分の１地図の中津川の中の字あたりに出るはずである。痩せているが木に覆われた尾根の展望が無い。難関の７４０ｍ地点の尾根の分岐もうまく乗り越え６１８ｍ地点も過ぎると杉の植林がでてくる。さらに忠実に下ると中津川に落ちる沢がすぐ右手に出てくるので一旦下る。しかし滝場になったので又もとの尾根に戻る。　結局尾根の末端まで下り、再び右手の沢に肩絡み懸垂で下り立つ。この懸垂の準備をしている時、ヒルの群れがすごい勢いで集まってくるのにはビビッた。雨が降っている為と、湿った枯葉の上ということもあったと思うが枯葉の間から次々に姿を出してくるのである。枯葉を全て取り除き土だけの丸い円にしたらヒルの攻撃も一休みであった。　この後、中津川出合奥の滝場を右から捲き下り中津川に出た。中津川は増水気味だった。渡渉して少し上流に行ったところから林道に這い上がった。後は車に戻るのみだ。　こうして２５年間気になっていた沢はなんとか登ったのである。折あらば隣のハタチケ沢からも鍋嵐に登ってみたいものだ。それにしても滝ノ沢は面白かった。ザイルを出す滝は少ないがナメ、小滝が連続し息をつかせず稜線に突き上げているのがいい。以上　報告：花岡

場所・ルート	丹沢・宮ヶ瀬付近・鍋嵐山（なべわらしやま）／滝ノ沢
目的・方法	沢登り
期日	2004年5月9日(日)
参加者	花岡洋二、北嶋勝広　（２名）
行程
天候
報告	ザイルを必要とした滝は一ヶ所。落葉樹の原生林がきれいで、静かな沢でした。下山は地図とコンパスを頼りに尾根伝いに下山。最後は肩がらみで懸垂下降して、中津川を渡渉し対岸の道路にでる。中津川ではカジカ蛙の美声が聞こえました。山頂付近と懸垂下降地点でヤマヒルが靴に這い上がってきて虫除けスプレーで撃退しました。 P.S 宮ケ瀬ダムの貯水量が増えたら沢には入れないかもしれません。以上　報告：北嶋 ----------------------------------------------------------------- もう２５年位も前のことである。山の帰り愛甲石田に住んでいた当時の山岳会会員である遠藤・香月のアパートに立ち寄った時部屋に東京雲稜会編の「丹沢の山と谷」という本が転がっていた。「山から少し足が遠ざかりつつある二人には勿体無い本だから花岡が大事に保管してやろう」と言って惜しそうな顔をする遠藤を無視して持ち帰った。本は今でも当時の姿のまま私のところで大事にされている。その中に不思議に思える沢が載っていた。「布川流域滝ノ沢」と括られ、大山三峰の北の山に喰い込む沢とある。この沢は地図と記事内容を照らすともうひとつ確信がもてないことで大山三峰の北に連なる尾根の末端の山８１７ｍ峰の北峰に食い込んでいる等の位置説明だ。しかしそうするとこの山は中津川の山になり布川というには少しづれている。だいたいの検討をつけ丹沢の行き帰り、宮ケ瀬付近からそれと思われる山の北面に喰い込む「滝ノ沢」と思しき沢を見つめるのだがこの沢は昭文社のエリアマップ「丹沢」では「境ノ沢」となっていて中津川の支流である。もうひとつ確信がもてないままであった。そんなな中、湘南台の図書館で吉田喜久治「丹澤記」を読んでいると問題の山の名は「鍋嵐（ナベワラシ）」というのだそうで、丹沢の地名について大部教えれた。さらに「マシラの部屋」ＨＰ上での「滝沢（境ノ沢）」の記録のなかで東京雲稜会の「丹沢の山と谷」にも触れられており。「マシラ」の当人が雲稜会に在籍し「丹沢の山と谷」の調査山行に参加したはずの人だからまず「滝ノ沢」であるのは確かなようだ。山名は「鍋嵐（ナベワラシ）」沢名「滝ノ沢」である。朝、門沢橋のセブンイレブンでいつものように北嶋を拾い、丹沢に向かう。前日思い立ち、その夜遅くパートナーを依頼し運よ了承してくれたのが北嶋だったのである。北嶋には「滝ノ沢」は２万５千分の１地図「大山」の長者屋敷ｷｬﾝﾌﾟ場の場の字のすぐ右下から南に向かって伸び上がるように喰い込んでいる沢がそれだと電話で説明したが。宮ケ瀬三叉路を左折、塩水橋に向かう中津川林道が宮ケ瀬ダムのﾊﾞｯｸｳｫｰﾀｰの手前、左手に道を分け橋にフェンスを張ってあるところに車を停める。空は曇り。一日持ってくれればと思いつつ北嶋と準備。フェンスを乗り越え、橋は渡らず右手方向に降りて行く。岬状をさらに下り、グズグズの堆積物で埋まった川を渡渉する。今はダムの水を放水して水位が下がっているから渡れるが、満水時のときは渡れそうも無い。　出合は薄暗く、すぐ２ｍの滝。「丹沢の山と谷」の出合７ｍの滝が埋まったもののようだ。右から越す。すぐ上に１０ｍの滝。ここで登攀の準備をする。北嶋にビレイを頼み花岡が右から取付く。３ｍ程登ってハーケンを１本、さらに６ｍ程登って１本、落口は左にトラバース気味に登り、立木でビレイを取って終了。北嶋を確保しながら左を見ると落口左岸に昔の炭焼き釜跡、さらにナント右岸に鉄パイプの階段がつけられている。ひょっとすると渡渉しなくても先程の立派な橋を渡り、端の付け根あたりを探すとここに出られる道があるのではと思わせた。　この滝の上は少しゴルジュ風の滝場になっていてほぼナメ滝か、ナメ状である。すこしゴーロ状になると二俣。少し休んで地図を見る。右俣が若干水量が多く、地図でも右俣が頂上近くまでつきあげている。もちろん右俣に入る。１０分程登るとまた二俣。左俣が水量多く左俣に入る。右俣の奥には急なナメ状の滝が見えている。この間、登ってきた沢筋もナメ状の滝が多かった。　左俣に入って１０分程で４ｍ位の半円状になった滝が出てきた。半円状の滝正面と右にわずかに水流があるだけだが正面と左はペロンとして登れず、右手の水の滴る壁を高巻く。この半円状の滝の上には大体三つの流れに分かれるが左が本流である。　左に入ってすぐに二俣がある。左に入ると水はナメ状をチョロチョロと流れるだけになる。スラブのナメ状の沢には小滝が次々と出てくるようになり、井戸底の突当りのような所に出た。もう終りかなと登ってゆくと井戸底の右手に滝があった。水はほんの申し訳程度、落口にはかぶり気味の岩と立木。この滝には北嶋がトップで取り付く。ザレた左手から立木でランニングをとる、木の上、右手にある大岩は落口にかぶるように迫りだしており、北嶋はこの岩を抱くようにソロリとトラバースして越す。見ていて気持ちよくない。ザイルを出したのは下の１０ｍ滝とこの６ｍ滝だけだった。　この滝の上あたりで小雨がパラつきだす。なおもルンゼ状の中、ナメと小滝が続く。落差は無いが難しい小滝もある。２０分程登ると二俣。左に入る。１０分程でルンゼ状のナメを登り、浅くなったナメルンゼの二俣で中間に落ちている小尾根に取付く。すぐ稜線に出て右に少し登ると頂上だった。８１７ｍの北峰の頂上だと思われた。　休んでいるとシグマになんとヒルがついている、北嶋が大騒ぎ。虫除けスプレーで撃退するが昼食もそこそこにして下山にかかることにする。地図と磁石で北面に延びる尾根を目標にしてかすかな踏み跡を追う、うまくいけば中津川がくの字に折れた地点、２万５千分の１地図の中津川の中の字あたりに出るはずである。痩せているが木に覆われた尾根の展望が無い。難関の７４０ｍ地点の尾根の分岐もうまく乗り越え６１８ｍ地点も過ぎると杉の植林がでてくる。さらに忠実に下ると中津川に落ちる沢がすぐ右手に出てくるので一旦下る。しかし滝場になったので又もとの尾根に戻る。　結局尾根の末端まで下り、再び右手の沢に肩絡み懸垂で下り立つ。この懸垂の準備をしている時、ヒルの群れがすごい勢いで集まってくるのにはビビッた。雨が降っている為と、湿った枯葉の上ということもあったと思うが枯葉の間から次々に姿を出してくるのである。枯葉を全て取り除き土だけの丸い円にしたらヒルの攻撃も一休みであった。　この後、中津川出合奥の滝場を右から捲き下り中津川に出た。中津川は増水気味だった。渡渉して少し上流に行ったところから林道に這い上がった。後は車に戻るのみだ。　こうして２５年間気になっていた沢はなんとか登ったのである。折あらば隣のハタチケ沢からも鍋嵐に登ってみたいものだ。それにしても滝ノ沢は面白かった。ザイルを出す滝は少ないがナメ、小滝が連続し息をつかせず稜線に突き上げているのがいい。以上　報告：花岡

2004年5月 丹沢・鍋嵐山／滝ノ沢

2004年5月　丹沢・鍋嵐山／滝ノ沢