2010年9月　谷川岳／茂倉岳、谷川岳、万太郎山

報告：大西
地域／ルート	谷川岳／土樽 -(茂倉新道)- 茂倉岳 --- 谷川岳 --- 万太郎山 -(吾策新道)- 土樽
目的・方法	縦走
期日	2010年9月17日(金)－19日(日)
参加者	大西、鈴木美代(非会員)　（２名）
行程	△9/17　北府中駅9：30出発　－　12：40土樽　-(茂倉新道)-　15：30矢場の頭　－　17：25避難小屋 △9/18　6：25小屋出発　－　6：40茂倉岳　－　7：00一ノ倉岳　－　7：50奥の院　－　8：00～15谷川岳　－　8：25肩の小屋　－　9：20～40オジカ沢の頭　－　10：15～35水汲み　－　10：40大障子小屋　－　11：10大障子頂上　－　12：00吾策新道分岐　－　12：05～50万太郎頂上　－　13：20越路避難小屋 △9/19　6：00小屋出発　－　6：45～55井戸小屋沢の頭　-(吾策新道)-　10：15林道　－　11：00土樽駅
天候	△9/17　雨 △9/18　快晴 △9/19　曇り
報告	△9/17 　ミヨさんを武蔵野線の北府中駅で拾い、中央道から圏央道経由で関越に乗る。水上を過ぎて関越自動車道から上方を眺めると、国境稜線はガスに隠れて見えない。関越トンネル手前で雨がポツポツと当たり始める。トンネルの向こうは晴れ、なんて事がないか期待したが、そんな事あるはずはない。湯沢のインターを降りて、重苦しい山並みの方へ向かう。土樽駅に人影はなし。車を停め支度をする。合羽を着て歩きたくないので、中止の口実を探すが、天気は快方へ向かう、と逆に自らを励まし出発する。登山道下の駐車場に車が１台。空は雨。地面はぬかるみ。　それでも樹林帯に入ると、多少雨の当たりが和らぐ。そうそう、樹林というのは風も雨も結構防いでくれる中々頼もしい存在だったっけ。雨は強くなったり弱くなったりを繰り返していたが、夕刻が近づくにつれ、本格的な雨となってしまった。途中、登山道の草を刈って整備している方に会った。こんな雨の中機材を背負ってたった一人でのお仕事、お疲れ様です。　足元は意外にドロドロではないが、合羽を着ていてもそれなりに体が濡れて寒い。森林限界を越える矢場の頭の辺で、この寒さのせいか、ミヨさんの両足が攣ってしまい、歩くのが困難そう。歩みが遅くなり、場合によってはビバーク、との会話が飛び出す。この雨の中でビバークは相当冷え込みそう。稜線左手からの風も時折強い。それでも、絶対に雪は降らないだろう、というのが救いではある。万が一ビバークするなら・・・と当たりをつけながらユックリ進む。幸い日没までまだ間があるので、何としても避難小屋へは着きたい。あたりはウメバチソウが咲き乱れ、晴れていればもっと楽しめたのに、と残念な気分。すっかり冷え切ってしまった頃、ガスの向こうにボンヤリと何かが浮かび上がるのが見えた。避難小屋だった。木造で柱梁を組み、フローリングの床に２重サッシの立派な小屋である。トイレも２部屋あり、清潔で明るい。外部に面する扉は全て鋼製。ウーン、作った方、凄い。水場は、小屋の裏の明瞭な踏み後を少し下ったところにある。こんな快適な小屋に入れるなんて、歩いてきた甲斐があった。明日は雨が降っていたら停滞、と飲みながら話し、早々に就寝。ちなみに、ミヨさんのザックはとても小さいのだが、軽量化の為にシュラフもセーターも持ってきていないから、という事が判明。何というストイックな山行！ △9/18 　夜半目が覚めた時に聞こえていた雨音は、朝方にはやんでいる。外に出ると思わず「凄い！！」と叫んでしまった。雨は嘘のようにあがり、広がる雲海の上に遥か遠くまで山々が続いている。こんな景色を見るのは久しぶり。　ラーメンを食べて、出発。昨日とは一転して素晴らしい景観と穏やかな天候の中を登るのは、心が弾む。ほどなく茂倉岳頂上に着く。足拍子が遥か下の方に見える。あんなに低いのに、冬季 2度訪れていながら、どうしてもあの頂上に着けないんだから、雪国の山って不思議。すぐそこに一ノ倉岳が見える、何と近い！コースタイム 20分との事だが、そんなにかかるんだろうか？　周囲の雲海も全て消え、それこそ雲ひとつ無い快晴だ。鼻歌交じりで歩いて、やはり、まあ 20分というところか、一ノ倉岳に到着。ここには避難小屋があるが、中で直立できない程度の高さで、3 人も横になれば一杯だろうか。鉄扉が立てかけてあり、それを脇へどけて入るようだ。このような小さな、貧相という言葉のピッタリくる小屋でも吹雪いている時には素晴らしい快適空間となる。でも今日の気分は「ここには泊まりたくないなあ」　昨日は雨の平日だったから、この時間に稜線にいる人は、ひょっとして私達だけ？と思っていたが、一ノ倉岳から先は結構人とすれ違う。昨日に比べると花は少ないが、谷川岳の眺めは抜群だ。谷川岳への登りには鎖場も出てきて、やはり岩の山だなあと感心する。オキノ耳の奥の院にお賽銭を入れ、谷川岳頂上の標識にて一休み。 360度、どこを見ても山がある。が、どれがどの山なのか、実はよくわからない。あれは上州武尊か、あれは榛名山か、と適当に推測してみる。　さて、再び出発。肩の小屋を横目に万太郎へ向かって歩き出す。ミヨさんは、今日の行程をどこまでにしようか、しきりと迷っているようだ。私は何処でもこの快晴の下を歩ければ幸せ。急な下りの登山道を降りつつ向かいの稜線を見ると小屋が見える。あれが大障子避難小屋かあ。近い近い。と思ったけれど、まずはオジカ沢の頭への登りが結構手強かった。岩交じりの痩せた稜線を右左に巻きながら登ったり降りたりして、やっと到着。すると、そこには大きな双眼鏡を覗きながら無線で話している 2 人組がいる。ムム、これは新しい山の楽しみ方なのか、と横目でチラチラ見つつ、行動食を食べて一休み。目の前の俎�欧悗領農��箸討睫ノ賄�Ｈ紳� 側の越後側の谷から沢の音が良く聞こえるが、これは実は滝のドウドウと落ちる音のようだ。稜線からも音源の滝がよく見える。あの滝は登れるのだろうか？　ちょっとユックリ休んでオジカ沢の頭を下る。直下に避難小屋がある。ここも快適に過ごすには 3 人程度が限界か。先程の頂上の２人組が泊まっているようだ。ミヨさんの下りは速い。私はついて行くのが大変で始終小走りである。谷川岳からこちらの稜線は花はほとんど無し。景色を楽しみながらの山行だ。左手にそびえる俎�� に向かって伸びる沢にも滝が落ちているのが良く見える。ウーン心惹かれる。眼下の谷は赤谷川。そう思うと心が騒ぐ。谷底にはちょっと雪渓もあるように見える。　降りきってまたひと登りで小障子を越えて、大障子避難小屋が目の前に現れる。小屋のちょっと手前に水場の看板があり、水を取りに向かう。土が露出した、下りにくい踏み後程度の道で、これは暗くなったら水汲みはできそうもない。歩きにくいが、赤谷川の源頭に水を汲みに行く、と思うと心が躍る。いつか来たい赤谷川。豊富な沢の水を汲んで、青空に向かって登っていく。足元にイチゴが群生している。さて、これは何と言うイチゴだろう、と思いつつ一つ食べてみた。あまり甘いとは言えない。少し紅葉している葉と赤い実を見て楽しむ方が良いようだ。水を汲み、小屋の傍で一休み。さて、この後万太郎の登りが待っている。　まずは大障子の急登をひいひい言いつつ登り、いよいよ万太郎へ向かって登っていく。こちらもなかなかの急登だ。しかし、ユックリでも歩いて前に進んでいればいつかは着くもの。お昼には吾策新道への分岐に着き、少し歩くと広々とした万太郎の頂上に到着した。私達に続いて、単独行の女性が１人頂上に飛び込んでくる。吾策新道を上がってきたという元気な方だ。ここで、ミヨさんは、昨日の不調の為に平標を回る事をあきらめ、越路避難小屋に泊まる事を決意。単独行の女性も共に過ごしたい、との事で、３人で越路避難小屋に泊まる事となった。女性は避難小屋に荷物を置いて先まで足を伸ばし往復したい、との事で一足先に出発する。私達は今日の行程はあと僅かなので、頂上でユックリ過ごす。　さて、あと１時間も歩かないうちに、今日の宿に着くはずだ。潅木の生える稜線の緩い下りを行くと立派な東俣の頭が左手にそびえている。地図では登山道はないけれど、こんな立派な尾根を誰も歩いていないのだろうか？この先は結構な下りとなり、やがて、避難小屋についた。小さな小屋だが壁は鋼製波板と縞鋼板の組み合わせで、小さな樹脂板の明かり取の窓もあり、形や材料は中々工夫されている。扉はアルミ。H 型鋼の土台の上に乗っている。鉄、という素材上、日の当たる西側の壁は結構熱いのに、反対側の壁はヒンヤリと冷たい。外部の温度がストレートに壁に反映されている。ノビノビと過ごすには４人程度、詰めればもう少し入るだろうか。床はスノコ敷き。しかし、これがちょっと曲者である。スノコの隙間から物を落とすと取れない。何かに役立つのでは、と持ってきたレジャーシートが、ここで役立った。　時間があるので、私は毛渡乗越まで行ってみることにする。ミヨさんは大事をとってユックリお休み。またまた急な下りが続く。降りきったところに赤谷川の谷底へ一直線に降りていく道が分岐している。眼前にエビス大黒の頭がどーんと聳えている。そしてその先に仙ノ倉の大きな山容が横たわっている。やっぱりあれらを越えなくて良かった、と見上げながら思った。エビス大黒の頭に２人の人影が見える。さっきの謎の双眼鏡の２人と同じ仲間の方達に違いない。仙ノ倉の北尾根は素敵な草原が広がっているように見え、ちょっと行ってみたい雰囲気。無雪期に訪れた人はいるのだろうか。　思う存分周囲を眺めて、小屋に戻る。やる事もないので、アルコールを飲みつつおしゃべりをするうちに、５時６時と時間が過ぎて行くが、先程の単独行の女性は戻ってこない。飲みつつ、心配ではあるが、既に少し酔払っているし、様子を見に行ったところで、担いで帰って来る事もできないし、気にはなるが如何ともし難い。また、昼間の快晴の空に徐々にガスが立ち込めてくる。やがて日も落ちて暗くなったが、それでも戻ってこない。「途中にも避難小屋があって人もいる訳だし、いざとなったら泊まっているだろう」とミヨさんと話しつつ、やはり気になる。７時になったので夕飯をつくって食べ、お茶を飲んで寝る支度をしたところで、何とヘッデンつけて元気に単独行の女性は帰って来た。あー良かった。平標まで行って来たとの事。アッパレ。少しおしゃべりをして就寝。 △9/19 　今日は雨も降るかもしれない、という天気予報。外はガスがかかり、万太郎の頂上は見えない。山の晴天は儚いものである。同宿の女性は新潟の山岳会に所属しているとの事。手作り梅干とコーヒーをいただく。どうもありがとう。私達は、今日は万太郎へ登り返し、吾策新道を降りる予定。新潟の女性は谷川岳方面へ縦走するとの事。小屋の前で 3 人で記念撮影をして、一緒に万太郎へ登り、その後は、それぞれのコースへ別れた。吾策新道は今での稜線と違って、あまり手入れがされていないようで、ブッシュが多く足元が見えず歩きにくい。加えて、ガスがかかっているせいで、ブッシュは濡れており、たちまち靴も靴下もびしょ濡れになった。「ザレて歩きにくい急坂」とハイキング地図に記載されている通り、井戸小屋沢の頭の前後は赤剥けで、一部トラロープが張られている。大ベタテノ頭を過ぎると徐々にブナの林の中の道となる。　昨日、下りの道を小走りに駆け下りたお陰で、早くも筋肉痛になりつつある私は、ヨタヨタと下り、時折ミヨさんが立ち止まって待っていてくれている。最後は杉の植林となり、アスファルトの林道に降り立った。ちょっと青空が覗いている。辺りはススキと萩の花が咲き乱れ、スッカリ秋の風景だ。小さな沢でドロドロの足を洗って、筋肉痛の足を引きずりながら、林道を歩く。ピンクのツリフネソウ、黄色のツリフネソウ、ミソハギ、と結構花が咲いていて、楽しく歩く事ができた。そうそう、ムカゴをミヨさんが発見し、酒の肴に取って帰りました。　越後湯沢の駒子の湯に入り、舞茸天麩羅そばを食べ、湯沢 IC から関越に乗る。　関越自動車道は 3時過ぎ、中里を過ぎた辺りから少々渋滞気味。環八に出て、荻窪駅にミヨさんを送り、その後は大して渋滞も無く、帰宅。　その後しばらく筋肉痛が続く・・・

2010年9月 谷川岳／茂倉岳、谷川岳、万太郎山

2010年9月　谷川岳／茂倉岳、谷川岳、万太郎山