2007年9月　谷川岳　一ノ倉沢　幽ノ沢

報告：藤澤、松田
場所・ルート	谷川岳　一ノ倉沢　衝立岩（雲稜第一）、幽ノ沢（中央ルンゼ）、一ノ倉沢（３ルンゼ）
目的・方法	岩
期日	2007年9月15日(土)～16日（月）
参加者	9/15 松田、藤澤　　　　　　　　　　　　一ノ倉沢衝立岩　雲稜第一（４Ｐ目で退却） 9/16 三橋（す）、芹澤、松田、藤澤　幽ノ沢左俣　中央ルンゼ 9/17 三橋（す）、藤澤　　　　　　　　　　一ノ倉沢３ルンゼ
行程	☆9/15 一ノ倉沢　衝立岩　雲稜第一ルート　一ノ倉沢出合5:20---6:30テールリッジ上部（中央稜取付）---7:10アイザイレンテラス---４Ｐ目途中から退却---アイザイレンテラス---テールリッジ---19:00一ノ倉沢出合 ☆9/16　幽ノ沢　左俣　中央ルンゼ　一ノ倉沢出合6:00---8:30中央ルンゼ取付---13:20中央壁の頭---14:30堅炭尾根稜線---16:35芝倉沢出合--17:27一ノ倉沢出合 ☆9/17　一ノ倉沢　３ルンゼ　一ノ倉沢出合5:00---6:51南稜テラス---7:20 ３ルンゼ取付---13:00頃、上部岩壁---16:11国境稜線---トマの耳---オキの耳---巌剛新道---19:00一ノ倉沢出合
天候	9/15　曇り 9/16　晴れ、夕方一時雨 9/17　晴れ一時曇り
報告	☆9/15　衝立岩　雲稜第一ルート　（報告：藤澤）　朝５時少し前一ノ倉沢出合着、今日は大勢のパーティーがいる。しかし殆どのパーティーは南稜か中央稜に向かう。他のルートには皆無だ。中央稜取付で会った人に雲稜はピンがボロボロだよと脅かされる。ここからアイザイレンテラスまではＦＩＸロープがあり全く問題は無い。それにしても時折ガスがかかるようなどんよりとした天気だ。今日は晴れの予報のはずなのに。 1P目良太君リード、2P目藤澤リードで第一ハングに向かう。さすがA2グレードだけあって結構しんどい。しかし人気ルートのためか結構ボルトも打ちなおされており不安な箇所は無い。3P目ビレイ点に到着、ここには結構新しいスリングとカラビナが残置されていた。ここから退却したのだろうか。3P目も藤澤リード。ここからはかなりのトラバースとなる。相当な高度感もありかなり怖い。トラバースの後は第二ハング越えだ、ここのピンは結構ボロく、ピンにかかっているスリングも切れそうなものもある。切れそうなスリングは補強しながら進む。4P目から良太君がトップ交代。数ｍ登った所でその先のピンが無く（抜けている？）難儀している。そうこうしているうち力尽き5m程墜落。トップを交代し、藤澤がトライ。先程良太君が落ちたところまで登る、やはりその先に支点が無い。岩も逆相でホールドもなくかなり厳しい。幸いクラックがあるのでキャメロットを使ってハングの壁に到達。そこから微妙なトラバースをして残置スリングを掴むと上部には支点が見える。なんとかルートに戻ったようだー後から分かったのだがこれは初登ルートで、本来はハングを左上するのが正解だったー。人工で数ｍ登ったところでハーケンに巻きつけてある細引きにアブミを懸け体重を乗せた途端一気に30m程墜落した。幸いなことにハング上だったためにケガは無かった。どうも墜落の衝撃で何本かピンが抜けたようだ。宙吊り状態だったのでユマールでビレイ点まで登り返す。良太君、藤澤共戦意喪失し、上部に残置してあるスリング、カラビナ、キャメロット（悔しい！）は残置して下ることとした。3P目はかなりトラバースするので下るのも結構大変だ。途中ヘリが近づいてくるのでどうしたのかと下を見ると衝立中央稜取付付近の負傷者を救助するところであった。多分落石であろう。後続のパーティが何組もいるところで懸垂で下るというのは他にルートが無いわけじゃなしどうしたものかと思う。 ☆9/16　　幽ノ沢　中央ルンゼ　（報告：松田）一ノ倉の駐車場から幽ノ沢方面へ30分。国道を歩き、入渓点へ。幽ノ沢に来るのは初めて。いつもなら緊張感の中に楽しみがあるのだが、昨日の衝立雲稜での滑落＆苦しい撤退で精神は弱っている・・・・。初めての幽ノ沢は、ナメ滝がとっても綺麗。二股からは左に進み、ここで一度ザイルを出す。そこからは小滝のへつりと藪こぎと草クライムダウンで沢床へ。頼りない踏み後がついている。約一時間。今日は暑く、汗だくだ。傾斜のない、白く美しいスラブを気持ちよく登り、取り付き点へ。１Ｐ目はすっ飛ばし、トポでに書いてある２Ｐ目でザイルを付け、さあ開始。４人なので、三橋（す）・松田、芹沢・藤沢に分かれた。１Ｐ　三橋（藤沢）リード。傾斜もなく、簡単に進んでいく。５０ｍ一杯で、ピッチを切る。途中、ランニングを取る残地は無い。２Ｐ　松田（芹沢）リード。トポでいう小ハング。Ⅳ＋と書いてあるが、確かに出だしがいやらしい。後は何の問題もない軟傾斜のスラブ。残地はほとんど無いが、簡単なので問題ない。４５ｍでくたびれたハーケンが縦に３本打ってある場所でピッチを切る。３Ｐ・４Ｐ　軟傾斜のスラブで快適。天気もよく、すこぶる気持ちがいい。気分の違いからか、幽ノ沢は一ノ倉と比べて明るく感じられる。５Ｐ　三橋（藤沢）リード。４０ｍ。右上気味に、大ハングの下へ。徐々に傾斜も出てくるがランニングを取るところは２箇所程度。ガバが多いが、傾斜が・・・・。リードは少々怖いかも。６Ｐ　松田（藤沢）リード。４０ｍ大ハングの脇を越すのかー？っと思っていたが、右のカンテを越すのが本来のルート。１０ｍトラバースし、カンテに出る。本来はここでピッチを切ったほうがよいが、まだ１０ｍなのでつっこむ。この先が核心。Ⅳ＋・Ａ１。フリーで行ったらⅤ＋・・・・。もちろんＡ１を使わせていただく。アブミは単純な架け替え。右にトラバース気味に登って行く。カンテに入って２０ｍくらいの場所にビレイポイントがあった。ビレイポイント前の頼りなさそうなフレークに叩き込んである、腐ったハーケンに体重をかけると・・・・・、みごとにズリッと頭が谷底に向いてくれた。「マジかー？」２日連続での滑落はまぬがれたいので、フィフィはかけず、ムチャクチャ焦って次のハーケンにアブミをかけた。焦りまくったので、親指の爪が剥れて、鮮血が垂れている。このビレイポイントはハンギングになるので、上に見える凹角が安定していそうなので行ってみると、やっぱり真新しいリングボルトのビレイポイントがあった。鈴子さんと藤沢さんは、フリーで挑戦。Ⅴ＋ポイントの最後の一手でＡ０で突破。７Ｐ　三橋（芹沢）リード。上部につながっている草付のスラブが、右と左に分かれている。三橋・松田は右へ、芹沢・藤沢は左へ。正解は左。右へ行くと、猛烈な藪こぎになるので、注意が必要。左へ行くと、藪こぎもなく、すっきり終了点に出ることができる。終了点から１時間、明瞭な踏み後をたどり、中央ルンゼの頭を抜けて、堅炭尾根の登山道へ。途中雨が降ってきて、滑りやすくなった堅炭尾根をのんびり下って行く。３時間半で一ノ倉駐車場へ。芹沢さんと松田は今日で退散。中央ルンゼはさして難しいルートではなかったが、昨日の雲稜での滑落があり、岩登りを始めた頃のように、精神と体が緊張しっぱなしのクライミングになってしまった。また初めからやり直し！！鈴子さん、藤沢さんは明日は３ルンゼへ・・・・。死ぬ目に会っても３日連続、藤沢さん、あんたはすげーよ！ ☆9/17　　一ノ倉沢　３ルンゼ　（報告：藤澤）今日は台風が来て天候が崩れる予定が一転して晴れ。３ルンゼに向かう。南稜テラスから古いFIXロープを使い本谷バンドをトラバースして取付へ。あまりトレースする人がいないのか支点は良く探さないと分からないし、腐っているものも多い。2P目以降は残置ピトンも明瞭だ。しかし岩は濡れているところが多く沢登りの感覚だ（ルンゼだししょうがないか。。。）。上部の緩傾斜のスラブを抜けたところでルート図では左から国境稜線に抜けるようになっているところを右に行く。ここから上部岩壁と言われる地帯である。ルート図にはないがところどころハーケン、ボルトが打ってあり登る人もいるようである。III級、IV級といった岩場を３ピッチ程登る。結構面白いところなのになんでルート図に乗らないのだろう。岩稜帯を抜け、かなりの藪こぎをして国境稜線に抜けたときはもう16時を回っていた。あー疲れた。

　

　　
　救助活動中の群馬県警ヘリ（隊員が降りるところ）　幽ノ沢中央壁の頭にて左から三橋（す）、松田、芹澤、藤澤

　

　　　

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